歯科用語集

顎関節症(がくかんせつしょう)

用語 読み方
顎関節症 がくかんせつしょう

 

顎関節症とは、口を開け閉めするときに顎関節の音がする、口が開けにくい、あごが痛いなどの症状がみられる病気です。
また、これらの症状のほかに頭痛、肩こり、めまい、目の疲れなどの多様な副症状がみられることもあります。

原因は、いろいろ考えられます。
ここでは、普通の歯科医院で扱うことのできる顎関節症について解説していきます。
当院でも、顎関節の不調を訴えて来院される方がいらっしゃいますが、当院で行うのはTCH(トゥースコンタクトハビット)が原因による、咬合位の変化に伴う、顎関節の不調を、保存的療法で扱える治療です。

TCHとは、簡単に言いますと、いつも上の歯と下の歯を当てている習慣のことです。
基本的には、人はリラックスしているときには、唇は閉じていても、上の歯と下の歯が、触っていないのが普通の状態なのです。
ご自分でも確認してみてください。リラックスできていると、下あごの重さで、上下の歯には隙間ができているのです。

ところが、ストレスや癖などで、ぐっとかみしめている方がいらっしゃいます。
噛みしめは、歯やあごの関節に悪いのでやめるようにしてください。
目が覚めているときは、時々意識していただいて、やっていたらやめる、やっていたらやめる。
ご自分でしていただければ治りません。
また、寝ているときに、ぐっとかみしめたり、ぐりぐりと歯ぎしりしたりする人もいらっしゃいます。
寝るときに、やらないと自己暗示をかけていただきたいのですが、それでもやまない方は、寝ている間にマウスピースを入れていただくようにします。

頭や、首、肩コリ、目の奥の痛みなどは、ぐっと食いしばっている場合の出やすい副症状です。
関節が悪くてなるわけではありません。
かみ合わせが気になって、ぐっと食いしばってしまうのも、食いしばらなければいいのです。
もちろん、いました説明に関係のない頭や首、肩コリ、目の奥の痛みもあると思われます。
食いしばりなどをやめた結果として、楽になれば、それが原因であったということです。

あごの関節は、頭の骨と、下あごの骨でできています。
下あごの骨と頭の骨の間に、関節円盤というものがはさまっています。
関節の動きを、滑らかにしてくれているのです。関節の動きは、2つあります。
一つは小さな開口時の、回転運動です。
もう一つは、大きく開口するときの平行運動です。あごの関節に指をあてて、動きを見ていただければ、小さく開けたときには関節は回転するだけですが、そこから大きく開けようとすると関節は前下方に動くのが分かります。

ずっと食いしばる癖があると、奥歯はだんだんゆっくりと、あごの骨に埋まっていきます。
つまり、かみ合わせの高さが低くなっていくのです。
矯正治療というのを聞いたことがあると思いますが、矯正治療では、弱い力をかけ続けて歯を動かしていくのです。
つまり、歯は動きます。
奥歯がだんだん埋まっていくと、あごの関節は下あごの骨の部分がだんだん上に上がっていきます。
そこで、あごの関節に症状が出てくるのです。

あごの関節の骨同士が近づくと、関節円盤が前に押し出されることが多いです。
そうすると、口の開け閉めのときに、カクとかカキっという音がしてきます。
小さな回転運動から、平行運動へ移行するときに音がすることが多くなります。
関節が、口を開けるときに円盤に乗りその時に音がして、口を閉めるときにまた音がするというのはそのせいです。
さらに噛みしめが続くと、さらに関節の距離が短くなり、関節円盤に乗りにくくなると、口の開け閉めが難しくなってきます。
痛みも伴います。パチパチという捻髪音(髪の毛を指でねじったときの音)がしてくることもあります。
口を開けるときに、鏡で見ていただくと、あごの動きが悪い方へ曲がっていくことがわかると思います。
円盤に乗って、カクっとしてから今度は逆に動いて、まっすぐになるのです。

噛みしめによって、ご自分のあごの関節を破壊してしまうのです。
その程度によって、症状や治療期間が変わります。ただ、根本的には、ご自分で噛みしめをやめるということです。

あごの関節に音はするけれども、特にほかには問題がないという場合は、様子を見ていてもいいです。
治療の対象にはならない場合があります。噛みしめをやめるという一択になります。

加藤歯科医院では、基本的にはかみ合わせの調整はしません。削ってしまったところは元に戻せないからです。
高い感じがするから削ってほしいという患者さんがいらっしゃいますが、ご自分でずっと噛みしめているから高く感じている。
その噛みしめの原因は、低くなっているから、ということがあります。そこをさらに削ってしまうと、ますます噛みしめが進んでしまうことになるのです。
もちろん、そうじゃない場合もあるかもしれません。まずは、ぐっとくいしばっていることをやめることです。

この点を、理解していただけない患者さんには治療ができません。ご了承願います。

悪い癖を減らし、寝ている間にはマウスピースを使っていただく。
奥歯がひくくなっているなどの形態の変化には、削ってかぶせる治療が必要になるかもしれません。

このようなことで、良くなる方を治療することができますが、ほかの原因や、程度がひどい場合などは専門のところ(北大歯学部)へ紹介することとなります。

また、突然あごの痛みが気になったという方もいらっしゃいます。
特に若い方に多いです。その場合、噛みしめをしないようにお話しさせていただき、無理をしないで2週間ほど様子を見ていただくと、なんともなくなってしまう方も多いのです。

顎関節症の、ご理解の一助になれば幸いです。

札幌市東区北30条東の加藤歯科医院

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